ビにフラれたホさんがうじうじして最終的にジョンホルジョンになる話。

物事にはいつか終わりがくる。そんなことくらいわかっていたけど、まさかこんなに早いとは思わなかった。  別れようというと、ビリーはあっさり承諾した。もっと抵抗してくれるものだと思っていた。馬鹿だな。  どうせ長続きしなかったんだ。ビリーは雲の上の存在だ。みんなの期待も大きい。俺なんかじゃ釣り合わなかったんだ。  付き合ってもらえただけでありがたかったって、そう思っていよう。ビリーを一時だけでも自分のものにできたんだから。 幸せだった。  これからビリーは俺の知らないひとに会って、そのひとと一緒に過ごして、そして恋をするのだろう。俺だけが知っていた、いつも仏頂面のビリーの笑った顔とか、優しい声とか、全部俺の知らない誰かのものになっていく。  胸が思いっ切り殴られたみたいに痛む。いっそバラバラに砕けてしまったほうがましだ。痛くて痛くて、こんな思いするくらいなら、もう誰かを好きになんかならない。

別に隠すつもりもないから言っておくけど、俺たち付き合ってたんだよ。  俺が初めて入った隊にいたのがビリーで、いろいろ教えてもらってた。そしたらいつの間にか、な。  別れようって言ったのは俺だ。ビリーは昇進するタイミングで。もう駄目だってふたりともわかってた。ビリーは人気者だしな。それに上に立つことのできる人間だ。そんなやつを、たかだか恋愛事で振り回すわけにはいかないだろ? 金の卵を潰す気かって言われたこともあった。どっちにしろ長くは続かなかったさ。  ビリーに選ばれる自信がなかった。多分ビリーはSEALsをやめられない。そういうふうにしか生きられないところあるだろ、あのひと。  ビリーに捨てられるのが怖くて、だから自分から終わらせた。自分で終わらせたくせに未練がましくいつまでも、あのひとを忘れるために他人を利用して、最低なんだよ、俺は。それでもいいのか?  ……馬鹿だなあ、なんでお前がそんな顔するんだよ。