中の人の誕生日記念で書いたヴォルティリヴォル。
誕生日はすべてが許された。カラフルなクリームがたっぷり載ったケーキ、油の染み出たフライドポテト、皿を埋め尽くすハムやソーセージ、テレビゲームに夜更かし。一日の終わりは両親のベッドに潜り込み、母と父に挟まれて眠る。
誕生日は特別な日だった。
「結構おいしいところだったな」
「ああ」
「また来ようぜ。今度は先輩と三人でさ」
隣を歩くヴォルフの手を、ティーリケはぎゅっと握った。
「どうした?」
「ん、別に」
「歩くの速かったか?」
「そうじゃない」
滅多にない恋人からのスキンシップに、ヴォルフは目を丸くしている。別に意味はない。ただ、今日は誕生日だ。誕生日だから仕方がないのだ。
「今日は……」
「ん?」
「今日は、イェーガーの話はなしだ」
これも仕方がない。なぜなら今日は誕生日だ。誕生日は主役の人間のことだけ考えるものだ。
「わかった」
意外に察しのよい恋人はにやにや笑ってこちらを見ている。どうせ子供っぽいと思っているのだろう。悔しいが仕方がない。だって今日は誕生日だ。
「なんなら毎日だっていいんだぜ」