ジョンホルジョン。
白い指から赤い血が伝う。そのほっそりとした指に顔を近づけ、ホールはぱくりと口に含んだ。彼の口内の柔らかさと温かさが心地よく、ジョンストンは思わず目を閉じた。
「メディックが手を怪我したら笑えないだろ」
ホールは握った細い手首を撫でた。
「隊長もお前の手、好きだって言ってたぜ。器用によく動くってさ」
ホールが口を開く度にちろりと覗く赤い舌が酷く官能的で、目が離せなくなる。
「俺も好きだな」
ホールの屈託ない笑顔に、ジョンストンは釘付けになった。この男が好きだと思った。
「隊長」
ジョンストンはビーマンの背に声をかけた。彼は丁度シャツのボタンを留めているところで、気怠そうに振り返る。
「なんだ、2回目はなしだぞ」
「そうじゃなくて」
ジョンストンは何度も何度も頭の中で浮かべた言葉を口にした。
「やめたいです」
「なに?」
「もう、こんなことやめたいです」
ビーマンから間の抜けた鼻息が聞こえてきた。
「一応理由を聞こうか」
ジョンストンは僅かに安堵した。聞いてはくれるらしい。