MP36で配布したパクリドの無配ペーパーです。
パクリドとは…… 映画『ハンターキラー』のアーカンソー乗組員、航海長のパーク×上等兵曹のリードによるカップリングです。長身瘦躯イケメンな航海長と、小柄色白ふわふわもちもちな上等兵曹の組み合わせが、私的には堪りません。劇中では常にふたり一緒、一瞬の緊迫したやり取り(というより、上等兵曹が航海長に突っかかっただけ)、からのラスト、熱いハグ(角度によってはキスしているとさえ見えてしまう)を交わす、まさにジェットコースター並みにせわしなく揺れ動くカプなのです。詰め込み過ぎです。ありがとう、公式。今後とも、パクリドをよろしくお願いします。
キスをするとき、リードは必ず目を閉じる。これは無意識のもので、パークに指摘されて初めて気がついた。
「君っていつも目を閉じるよね」
そんなにいやかとパークは笑ったが、別にそういう訳ではない。むしろパークとのキスはくらくらするほど甘く、嫌いではなかった。
ただ、どういう顔をすればよいのかわからないのだ。パークは美しい男だ。あの綺麗な顔がこちらへ近づいてくると、リードは恥ずかしさといたたまれなさで耐えられなくなる。とてもじゃないが目を開ける余裕はない。
その日は停泊地のパブで酒を飲んでいた。大きな任務を終えたあとで、みな浮かれていたが、パークもリードもそこまで飲むほうではない。合わせたかのようにふたりでパブを出て、たわいない話をしながら艦へ戻った。
不意に会話が途切れ静かになると、パークはリードの手を引き、ゆっくりと顔を近づけた。
ああ、くる。
何も起こらない。リードは恐る恐る目を開けた。
目が合った。月の光さえ吸い込んでしまうパークの黒い瞳が、まっすぐにこちらを見ている。咄嗟に目を閉じようとしたが、もう遅い。
「そんなにキスが待てなかった?」
パークは笑ってリードを抱きしめ、そして今度こそキスをした。待ち望んだ甘さが、唇から伝わってくる。
その言葉を口にしたとき、リードは後悔した。目の前の友人は冷たい顔でこちらを見下ろしている。パークは普段とても穏やかな男で、怒っているところなど見たことがなかった。こんな彼は初めてだ。
きっかけは些細なことだった。パークは善良だが、同時に冗談が好きな男で、リードはよく彼の餌食となっていた。素直な船乗りは、パークが語るどんな突拍子のない話でも信じた。揶揄われてはキーキーと怒るリードと、その様子を楽しそうに眺めるパークは、アーカンソーの名物となっていた。
だからパークが「君のことが好きだよ」などという、歯の浮くような言葉をリードへ向けたとしても、冗談だと思った。「またいつものやつか」とパークを睨んでも、彼はにこにこと笑うだけで、何も答えなかった。
パークは何度も好きだと言った。その度にリードは「どうせ嘘だろう」とあしらった。しかしどれだけの言葉が破り捨てられようと、パークは語りつづけた。「君のことが好きだ」と。
「そういうことは他のやつに言ってくれ」