のかたちは人それぞれ。またまたオスカーネタ。
一通りの挨拶を終え、ラミはほっと息をつく。一言彼と話がしたいという人間は次から次へとやって来て、その演技やこれまでの軌跡を称えた。嬉しいことだが少し休みたい。他の3人もそれぞれどこかへ行ってしまい、彼は所在無さげにグラスを揺らす。
そのとき、人の波を掻き分けてベンが近づいてきた。口をきゅっと結び、不機嫌そうな様子を隠そうともしない。
「ジョー見た?」
ラミが肩をすくめると、彼は眉を寄せる。
「どうしたの?」
「ジョーが写真のこと、ずっと言ってきてしつこいんだよ!」
ああ、あれか。ここへ来る前、ルーシーが笑いながら見せてくれた写真を思い出す。写真自体は仲睦まじく、微笑ましいものだか、相手が悪かった。
「会ってからずっと『浮気者』、『二股なんて最低』って! ずっとだよ! あげく『ふたりの仲を邪魔しちゃ悪いから』とか言ってどっか行っちゃうし!!」
周りの目も気にせず、ベンは一気に捲し立てる。眉間の皺に込められた理由があまりに子供っぽくて、ラミは思わず笑った。そうやって素直に反応するから、ジョーは面白がってますます年下の男をからかうのだが、本人はこのことに気づいていない。
「笑うなよ」
ベンは眉間の皺をさらに深くした。
「ラミまで俺のこと、餓鬼扱いするんだろ」
「ごめん、ごめん」
これ以上拗ねてしまっては困ると、ラミは慌てて話題を変える。
「でも君たちまだやってたんだね」
「グウィルとジョーが先に始めたんだよ。俺は巻き込まれただけだ」
画面越しでもわかるくらい、ふたりに構ってもらって嬉しいと言わんばかりの顔をしていたくせに、よく言えたものだと思う。最年少メンバーを挟んで行われる彼らの攻防は、今や世界中のファンが知るところとなっている。
「ジョー、やっぱり怒ってるのかな」