を掴んだGLさんと、掴めなかったBのお話。今更の機内セックスネタ。基本leezelloですが、ほんのりブロジャ、ブラ→ジョン風味。

SNSにアップした写真は思いの外反響を呼んだ。驚異的なスピードで伸びていく数字と、次々と表示されるコメントが、それを物語っている。しかしそれだけでは満足できない。どれだけ多くの人の目に留まろうと、関係ない。写真に込めたメッセージは、世界中を繋ぐネットワークを通じてたったひとりの人間に向けられている。

返事はすぐに返ってきた。くたくたになったカードボードを抱え、自宅のソファで不機嫌そうに座るジョー。グウィリムはそっと口角を上げる。

きっかけはジョーがSNS上で公開した例の動画で、お互い挑発し合う内にやめどころを失ってしまった。どんな些細なことでも律儀に反応してくれるジョーに対して、ちょっかいを出すことをやめられないという理由もある。しかしそれ以上に、例の動画で受けたショックが尾を引いていた。

本当は誰よりも知っている。彼はそういう人間だ。人を楽しませることが大好きな、生粋のエンターテイナー。わかっていても感情をうまくコントロールできない。途方もない疎外感と、振り払うことのできない嫉妬心。彼にも同じ気持ちを味あわせてやりたかった。

そして、やはりジョーはグウィリムが考えた通りの、若しくはそれ以上の反応を返してくれた。今頃きっと地上から、どんな嫌味で迎えてやろうか、思考を巡らせているに違いない。

想定外だったことは、ロサンゼルスに着いて早々、多くのファンや報道陣に囲まれたことだろう。四方八方から何本も手が伸びてきて滅茶苦茶に掻き乱される。あまりの歓迎ぶりにみんな戸惑う中、ジョーだけはいつもと変わらず、笑顔でポーズをとり、慣れた手つきでサインをし、ファンにも穏やかに対応する。流石、幼い頃から芸の世界で生きてきた彼は、役者としての振る舞いが染みついている。感心すると同時に、少し寂しい。急に彼を遠くに感じる。

結局まともに会話もしないまま、夜は更けていく。ビックイベントを控えた前夜特有の高揚や喧騒も今は落ち着き、グウィリムもようやく腰を下ろした。

ベンとアレンは酒を取りに行ったまま帰ってこない。ジョーとルーシーもふたりでどこかへ行ってしまった。グウィリムの隣に座るラミは先程から一言も発しない。

「大丈夫?」

グウィリムが心配そうに声をかけると、彼は少し笑って頷いたが、相変わらず表情が固い。

「やあ、飲んでる?」

優しい声に顔を上げると、今やよく見知ったQueenのふたりが立っていた。強張ったラミの顔が和らぐ。

「ええ、明日に響かない程度には」

「少しくらい酔ってたほうが血色もよく見えていいだろう」

「ロジ」

軽口を叩くロジャーを諌めて、ブライアンはラミの肩に手を置く。

「大丈夫、みんな君の努力を知っている。きっと正当に評価してくれているよ」

ブライアンはそう言ってラミの肩を叩き、グウィリムに向き直る。