@ジョー嫉妬した?の画像から生まれたleezello。
「この間ジョーに会ったよ」
スマートフォンに目を向けたまま、ベンはそう言った。特に含みを持たせた言い方ではなかったので、動揺を悟られぬよう、努めて冷静に応える。
「そう。元気そうだった?」
「一応。少し太ったって言ってた」
ベンは深いため息をつき、スマートフォンを膝の上に乗せた。
「素直に会いたいって言えばいいのに」
こんな回りくどいことしないでさ。
明るいグリーンの瞳には、情けなく項垂れるひとりの男が映っていた。
撮影が終わったとき、誰もがジョーを指してこう言った。"バンド"と離れていちばん寂しがるのは彼だ、と。人好きで寂しがり屋の彼は、その度に笑って答えた。「もし他のメンバーが僕抜きで楽しんでいたら嫉妬に狂うね」
いつしか会えないことが当たり前になった。聞き馴染んだ彼の声が耳から離れていくことが、堪らなく恐ろしかった。
SNSの投稿に反応が返ってくる度、嬉しいと同時にほっとした。自分はまだ、ジョーにとって過去の人間ではない。彼はニューヨークでひとりだ。だからこうしてコンタクトを取ってあげないと。これはすべて寂しがり屋の彼のためだ。そう言い聞かせても、心の奥ではわかっている。これはすべて自分のため。彼に寂しいと思わせたい。彼に会いたいと言わせたい。彼の心に、いつまでも消えない傷として残りたかった。
アドレス帳から名前を探し、通話ボタンを押す。遠くから聞こえてくるコール音。永遠とも思える時間に耐えきれず、電話を切る。
会いたいと、言ってしまうことは簡単だ。でも、もし拒絶されたら? 彼が特にかわいがる年下の男のように、すんなりと会ってくれなかったら? 彼の10年来の親友のように、時間と距離の空白を感じさせない再会とならなかったら?
電話が鳴る。震える指でボタンを押した。
待ち望んだ、柔らかい声が聞こえてくる。