ほのぼのめのマカジャマ。

「君の好きのしていいよ」  ダブルベッドに横たわり、男はにっこりと笑う。 「ほら、おいで」 「本当にいいのか」 「ああ」  二歳年上の彼は、人を甘やかすのに長けている。だからつい最近も、妙な青年たちに懐かれていた。  ジャーマンは男に覆いかぶさると、首筋に顔を埋め、息を吸い込む。微かに固形石鹸の香りがする。 「くすぐったいよ」 「好きにしていいんだろう」 「文句を言わないとは言ってない」  男はくすくすと笑った。常時は引金を撃つ長い指が、今はジャーマンの髪を梳いている。ときどき、自分はどうしようもないほど強欲なのだと思う。この指も、吐息も、すべてここに閉じ込めて、隠してしまえればいいのに。 「最近預かっているガキどもがいるだろう」 「ああ、あの三人か」 「別のやつに世話を頼め」  男は困ったように眉を寄せた。 「それはできないよ。ひとり立ちするまでは俺がサポートするように言われているんだから」 「好きにしていいんじゃないのか」 「嫉妬か?」  子供だなあと男が笑うので、ジャーマンは顔を逸した。 「君よりずっと年も下の、卵の殻を頭にのせたような半人前じゃないか。嫉妬するようなことがあるか」 「確かにガキだが、全員酒も煙草も買える年齢だ。大体お前はそうやっていつもボケっとしているから」  くどくどと説教を始めたジャーマンを見て、なぜか男は微笑む。 「なんだ」 「いや、心配してくれているんだな、と思って」 「馬鹿が」  隣に横たわるジャーマンに、男はそっと囁いた。 「大丈夫。誘われてもちゃんと断るよ。『嫉妬深い恋人がいるから』って」